身分から探す
公爵と伯爵の宝冠の違い、王と王太子の冠の違い、未婚の令嬢がティアラを着けてよいか。身分を選ぶと、その身分が着ける冠と勲章が見られます。
君主(王・女王・皇帝)
17 種王冠と宝器を持つ、国の主
- 頭(式)
- 戴冠式で王冠。王笏・宝珠・指輪
- 勲章
- 自国の最上の勲章の大綬と頸飾
王妃・皇后
21 種君主の配偶者。戴冠式では王妃の冠をかぶる
- 頭(式)
- 王妃の冠。夜会はティアラ・小冠
- 勲章
- 婦人の勲章、大綬
王太子
4 種王位を継ぐ王子。宝冠にアーチを 1 本だけ渡す
- 頭(式)
- 王太子の宝冠(アーチ 1)
- 勲章
- 大綬
王子・王女
16 種王の子と孫。宝冠の飾りで続柄が分かる
- 頭(式)
- 王の子の宝冠。王女は 18 歳からティアラ
- 勲章
- 大綬(王女は蝶結びの綬も)
公爵・公爵夫人
13 種爵位の最上の段。宝冠はいちごの葉だけ
- 頭(式)
- いちごの葉 8
- 勲章
- 爵位と別。勲章は人ごと
侯爵・侯爵夫人
13 種公爵の次の段。宝冠は葉と玉を交互に
- 頭(式)
- 葉 4 と玉 4
- 勲章
- 爵位と別。勲章は人ごと
伯爵・伯爵夫人
13 種宝冠は高い軸の先の玉と葉を交互に
- 頭(式)
- 葉 8 と高い玉 8
- 勲章
- 爵位と別。勲章は人ごと
子爵・子爵夫人
12 種宝冠は輪に接して並ぶ玉だけ
- 頭(式)
- 玉 16
- 勲章
- 爵位と別。勲章は人ごと
男爵・男爵夫人
13 種爵位のいちばん下の段。宝冠は飾りの無い輪に玉 6
- 頭(式)
- 玉 6
- 勲章
- 爵位と別。勲章は人ごと
騎士・勲爵士
8 種爵位でなく勲章の位。冠は無く、勲章の等級で着け方が変わる
- 頭(式)
- 冠は無い
- 勲章
- 胸の小綬・首の勲章(等級による)
令嬢・地主と富裕な市民の家
16 種爵位の無い家。未婚の令嬢は花とリボン、既婚の夫人はティアラ
- 頭(式)
- 冠は無い。既婚の夫人は夜会でティアラ
時代 × 身分の描き分け
その時代の夜の正装で、頭・首と胸・耳と手・勲章に何を着けるか。付録で確かめきれない行には「推定」と出しています。
| 身分 | 頭 | 首と胸 | 耳・腕・指 | 勲章 |
|---|---|---|---|---|
| 中世(〜1500) | ||||
| 王・王妃推定 | 開いた冠(輪に百合・葉・十字)。王妃はヴェールの上に載せる | ポイントカットとカボションの石、真珠 | 指輪 | ―(勲章の等級の型は 19 世紀から) |
| 貴婦人推定 | ヴェールの上に細い輪か花冠 | ― | ― | ― |
| ルネサンス・バロック(1500〜1720) | ||||
| 王・王妃推定 | 閉じた冠(戴冠式)。王妃は小さな宝冠 | テーブルカットの石と真珠の首飾り、大きな垂れ飾り | 指輪 | 騎士団の頸飾 |
| 貴婦人推定 | フェロニエール(ルネサンス)、髪の網と真珠・リボン・小さなブローチ(バロック) | 真珠の連、リボン結びのブローチ(セヴィニェ)を胸に | ― | ― |
| 男性の貴族推定 | 帽子にエグレット(羽根飾り) | ― | 指輪 | 騎士団の頸飾 |
| ジョージアン(1720〜1795) | ||||
| 王妃・既婚の貴婦人(宮廷の正装)推定 | 盛り上げた髪に花のピン・エグレット・宝石の小枝。ティアラはまだ無い | 胸の三角を覆うストマッカー、リボンのブローチ、リヴィエール | ジランドール(三つの雫の耳飾り)、ジャルディネットとクラスターの指輪 | ― |
| 男性の貴族推定 | ― | 上着に縫い付けた刺繍の星章(銀糸とスパンコール) | 指輪 | 大綬 1 本と刺繍の星章 |
| 摂政期・帝政(1795〜1830) | ||||
| 皇后・既婚の貴婦人 | 額の高い位置に古典のダイアデム・カメオのダイアデム・花輪。後ろの髷に櫛 | カメオの一式、エスクラヴァージュ、細い長い鎖 | トワ・エ・モワ、色石の大きな指輪 | ― |
| 未婚の娘推定 | 短い巻き毛にバンドーや花、フェロニエール | 細い鎖、小さなカメオ | ― | ― |
| ヴィクトリア前期(1830〜1860) | ||||
| 既婚の貴婦人推定 | 花枝のティアラ・花輪・フェロニエールを頭の横から後ろに、耳の上の巻き毛と組む | スプレー(花束のブローチ)、ビブ、ロケット | 長い耳飾り、蛇の指輪、ストラップの腕輪を左右に | ― |
| 未婚の令嬢推定 | 花とリボン | 短い真珠の一連、珊瑚、トルコ石、小さなロケット | 小さな耳飾り | ― |
| ヴィクトリア中期・後期(1860〜1900) | ||||
| 女王・王妃推定 | 小冠かティアラ。喪の宮廷は黒と白(真珠・ダイヤ) | 国の宝飾の一式、リヴィエール | 一式の耳飾りと腕輪 | 婦人の勲章の大綬(細い) |
| 既婚の貴婦人 | 高く結った髪に星のピン・フリンジ・山形のダイアデム。1890 年以降はココシュニク形も | コリエ・ド・シアン(1865 年ごろ〜)、星と三日月のブローチ | 小さな一粒の耳飾り、バングル、ハーフフープ | ― |
| 未婚の令嬢・デビュタント推定 | 花とリボン。拝謁は白い羽根とヴェール | 短い真珠の一連、小さなロケット、バーブローチ | 小さな耳飾り | ― |
| 男性の貴族・騎士 | ― | シャツの前にスタッド | 印章指輪 1 つ、懐中時計の鎖 | 金属の星章。燕尾服では大綬を上着の下、夜はミニチュアを左襟 |
| ベル・エポック(1900〜1914) | ||||
| 既婚の貴婦人 | 膨らませた高い髷の前にティアラ(ガーランド様式・ココシュニク形・真珠の垂れ) | コリエ・ド・シアン、デヴァン・ド・コルサージュ、ソートワール。白一色(プラチナ・ダイヤ・真珠) | 小さな耳飾り、ライン・ブレスレット | 婦人の勲章は蝶結びの綬を左胸に |
| 未婚の令嬢・デビュタント推定 | 花。拝謁は白い羽根とヴェール | 短い真珠の一連、ラヴァリエール | 小さな耳飾り | ― |
| アール・デコ(1914〜1939) | ||||
| 既婚の貴婦人 | 1920 年代は額に低く水平のバンドー、1930 年代は後ろへ傾けるヘイロー。ロンドンの宮廷ではティアラが必須 | 腰までのソートワール、襟のドレスクリップ | 肩まで下がる長い耳飾り、細い腕輪の重ね付け、カフ | ― |
| 未婚の令嬢・デビュタント推定 | 短い髪に花かバンドーなし。拝謁は白い羽根とヴェール | 真珠の連(1920 年代から養殖真珠で長い連も) | 長い耳飾り | ― |
身分 × 場面
何を着けてよいかは、身分より場面(夜か昼か・式の種類)と既婚・未婚で決まります。主に 1830〜1914 年の英国の宮廷と作法書の決まりです。
| 身分 | 戴冠式 | 拝謁 | 婚礼 | 夜会・舞踏会 | 昼の行事 | 叙勲・式典 | 喪 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 王・皇帝(男性の君主) | 王冠・十字の王笏(右手)・宝珠かハトの王笏(左手)・戴冠の指輪 | ― | 軍服に勲章着けない 王冠推定 | 軍服か宮廷服に最上の勲章の大綬 1 本と星章着けない 王冠推定 | モーニングに星章 1 つまで着けない 大綬 | 頸飾の日は頸飾(大綬は外す)着けない 頸飾と大綬を一緒に | ― |
| 女王(主権者) | 王冠と宝器推定 | ― | ヴェールに花冠かティアラ推定 | ティアラか小冠、国の宝飾の一式推定 | 帽子、簡素な宝飾着けない ティアラ | ― | ― |
| 王妃・皇后 | 王妃の冠(王の冠より小さく軽い)。王妃の王笏 | ― | ― | ティアラと国の宝飾の一式、婦人の勲章の大綬(細い)着けない 王妃の冠 | 帽子、真珠、小さなブローチ着けない ティアラ | 婦人の勲章。下の等級は蝶結びの綬を左胸に | 黒の服にジェット。宮廷の喪は黒と白(真珠・ダイヤ)着けない 色石推定 |
| 王太子 | 王太子の宝冠(アーチ 1 本)着けない アーチ 2 本の王冠 | ― | 軍服に勲章着けない 宝冠 | 軍服か礼服に大綬と星章着けない 宝冠 | ― | 大綬と星章推定 | ― |
| 王女(未婚) | 王の子の宝冠 | ― | 生家のティアラとヴェール | 18 歳からティアラ。それまでは花とリボン | 帽子、真珠着けない ティアラ | ― | ― |
| 王子 | 王の子の宝冠推定 | ― | ― | 軍服に大綬と星章着けない 宝冠推定 | ― | ― | ― |
| 公〜男爵(男性) | 位の宝冠(王に冠が載った時にかぶる)と議会の式服推定 | ― | ― | 燕尾服か軍服に、もらった勲章だけ。燕尾服の大綬は上着の下着けない 宝冠、上着の上の大綬 | モーニングに星章 1 つまで着けない 大綬 | 等級ごとの着け方 | ― |
| 公〜男爵の夫人(既婚) | 夫と同じ位の宝冠を小さく作り、ティアラの後ろに載せる推定 | ティアラ、白い羽根とヴェール推定 | 婚家か自分のティアラ | ティアラ・リヴィエール・耳飾りの一式着けない 位の宝冠 | 金と銀の簡素なもの、小さなブローチ、時計着けない ティアラ、大きなダイヤ | ― | 深い喪は艶を消したジェットだけ。半喪で紫水晶・真珠着けない 色石、光るダイヤ推定 |
| 騎士・勲爵士 | ― | ― | ― | 燕尾服で首の勲章を蝶ネクタイの下、ミニチュアを左襟着けない 実物大の勲章を胸に並べる | モーニングで実物大のメダルバー着けない 大綬 | 等級の着け方(首・胸の小綬・星章)。軍服の大綬は肩章の下推定 | ― |
| 令嬢(未婚) | ― | 白い羽根(頭の左寄り)とヴェールかラペット、控えめな真珠着けない ティアラ推定 | 生家のティアラか花冠とヴェール | 花・リボン・小さな髪飾り、短い真珠の一連着けない ティアラ、大きなダイヤ推定 | 小さなロケット、珊瑚、トルコ石、カメオ着けない ダイヤ、ティアラ推定 | ― | ジェット着けない 色石推定 |
| 既婚の夫人(爵位の無い家) | ― | ティアラ、白い羽根とヴェール推定 | ― | ティアラ(あれば)・ダイヤ・真珠の一式着けない 一式を混ぜる(腕輪は違ってよい)推定 | 低い品位の金・ペースト・小さなブローチ着けない ティアラ推定 | ― | 深い喪は艶を消したジェット、髪の細工のロケット着けない 色石推定 |
取り違えやすい所
舞踏会で王が王冠
王冠は戴冠式と、英国では議会の開会など、ごく限られた式でしか頭に載せない。舞踏会の王は軍服か宮廷服に勲章を着け、頭には何も載せない。
夜会で公爵令嬢が宝冠
英国の爵位の宝冠は、戴冠式の席で王(王妃)に冠が載った時に貴族がかぶるもの。夜会の髪飾りにしない。宝石も付けない。
未婚の令嬢がティアラ
ティアラは既婚の女性のもの。未婚の娘が着けるのは自分の婚礼の日だけ。王女は 18 歳から。英国の拝謁のデビュタントは白い羽根とヴェール。
昼の園遊会でティアラ
ティアラは夜の正装・晩餐・舞踏会・宮廷の夜の拝謁のもの。昼は帽子で、宝石は控える。
王妃が王と同じ冠
王妃の冠は王の冠より小さく軽く、全面をダイヤで覆う型が多い。
王太子に王冠
王太子の宝冠はアーチ 1 本。王のアーチ 2 本(英国)と描き分ける。
大綬を左肩から・何本も
ほとんどの勲章の大綬は右肩から左腰で、1 度に 1 本。英国のガーター・シッスルは左肩からの例外。燕尾服では上着の下に掛ける。
喪の場面に色石
深い喪は艶を消したジェットか宝飾なし。喪が浅くなってから真珠・紫水晶・灰・藤色が戻る(期間は推定)。
日本の宮廷に王冠
明治以降の日本の宮廷に西洋式の王冠は無い。洋装の皇后・皇族妃はティアラ。男性の華族は大礼服で、爵位は刺繍の色で分けた。